「感染症利権」山岡淳一郎著 ちくま新書

山岡淳一郎著「感染症利権」

「感染症利権」山岡淳一郎著 を読んで

◎ 新型コロナ感染症が猛威を振う。本来なら国民の命とくらしを守る先頭に立つべき日本政府は、補償なき自粛要請。「アベノマスク」「GO TO トラベル」の2大愚策で国民を翻弄している。なぜか?
本書は、歴史的な感染症を取り巻く事実を直視し、この日本の医療を蝕む利権構造を暴く。
明治期、内務省は警察による強権的な社会防衛と治安維持を優先し、人脈的に文部省とにらみ合う。スペイン風邪での対応は、100年後の新型コロナ「予告編」そのもの。人体実験と細菌兵器開発を行った「731部隊」、戦後、その実験データを持ち帰った元隊員が医学界や製剤界に入り込み、現在もその影響力を保つ。結核・ハンセン病・HIV患者への差別とのたたかい、特にハンセン病元患者の伊波敏男さんの生きざまには心揺さぶられた。
感染症は時代を動かす。いまコロナの時代とどう向き合うか、その手がかりを本書は教えてくれる。

一般社団法人 上伊那ひまわり企画 専務理事 古畑克己

◎ 「差別の壁」の一節「伊波敏男のカミングアウト」は伊波さんが世間という「差別の厚い壁」によって、かけがえのない自らの家族と切離された痛みを伝えています。世間によって認識や思考が否定されたという次元にとどまらず、大事な家族の絆が壊され、心身に大きなダメージを受けた体験なのです。言外に、差別への無関心は中立などではなく「世間の冷たさ」を根強く支える元凶であるとの自覚の有無を読者に問い質しています。   

 弁護士 横田 雄一 

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